この2年で浜松の働き方が大変化、デクシィが考える企業価値を高めるためのテレワーク活用とは?

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2012年、シェアオフィスの概念がまだ薄かった浜松市で、いち早くコワーキングスペースを開設した株式会社デクシィ(以下:デクシィ)。世の中や利用者のニーズに合わせ内装・サービスを変え続け、ファンを増やしてきました。

コロナ禍ではテレワーク需要も増え、2021年2月に2店舗目となるデクシィ板屋店をオープン。利用者の働き方も大きく変化しているといいます。

デクシィ社員もテレワークを実施する中で見えてきた「浜松における新しい働き方」とは?デクシィ代表取締役、杉田策弘(以下:杉田さん)さんに話を聞きました。

目次

利用者の声に応え『働く』をアップデートし続けている場所

コワーキングスペース「デクシィ」

コワーキングスペース「デクシィ」は、オフィスデザインを手掛ける株式会社デクシィの運営。郊外型の有玉店(浜松市東区)と、浜松駅前から徒歩圏内にある板屋店(浜松市中区)の2店舗があります。

フリー席から固定席、そして個室まで、さまざまなオフィスの種類が選べ、月額会員は24時間利用が可能です。はじめに、デクシィの特徴を聞きました。

「それぞれの専門分野で活躍している方が、『事業拠点となる場所』が欲しいと思って契約いただくケースがとても多いです。デクシィは3時間からのドロップイン利用も可能ですが、利用者の9割以上が月額メンバー。そのような経緯で今では、さまざまな分野のプロが集まるコミュニティができあがってきました

と杉田さん。

デクシィが人気を集めてきたのは、そのときどきで働く人々のニーズを捉えてきたからだそう。

「デクシィはもともとオフィスデザインの会社ということもあって、私たちの理念は『働くを創る』なんです。みなさんが快適に働ける場所を作り続けてきました。とくに有玉店は利用者さんの声を聞きながら、もう7回も改装しています。

コロナ以前は、交流会を行ったり、キッチンスペースでまかないを振るまったりしていました。そのキッチンに立っていたのは、私の母なんですが(笑)」

と杉田さんはデクシィのコンセプトを教えてくれました。

利用者同士がコミュニケーションを取れる空間設計
利用者同士がコミュニケーションを取れる空間設計が随所に

有玉店のオープンから9年後の2021年2月には、デクシィ板屋店を新規開店しました。折しもコロナ禍で、浜松にもテレワークが浸透したころでした。

「自宅では集中して働けない、オンライン会議の会話が家族に聞こえてしまう……そんなお悩みが増えていましたね。そこで板屋店には、オンライン会議用のブースを増やし、Wi-Fiやスピーカーなどにも投資を行いました。それだけものすごいスピードでデジタルな働き方に変わっていったのが、ここ2年ほどだったと実感しています」

テレワーク環境の未整備によりオフィスが改装できない事態も

株式会社デクシィ 代表取締役 杉田策弘

そんなデクシィの利用者は多種多様だといいます。クリエイターやデザイナーといった個人事業主から、法人契約をしている企業の社員、勉強(学業・資格)を目的とする学生・個人まで。中でも、コロナ禍で増えてきたのが法人利用だそうです。

「実は『浜松支店』として登記する企業さまが増えました。テレワークを実施している東京や大阪の本社がオフィスを縮小する傾向にある中で、浜松拠点を撤廃されてしまったことが要因です。

ですが、車通勤が中心で感染リスクの低い浜松では、オフィスに集って働けないのはむしろ不便に感じられるそう。大変なケースでは、名古屋支店に通勤しなければいけなくなった人も……そうした事情を抱える大企業の方が、デクシィをオフィス代わりに使ってくださるケースが増えましたね」

大都市圏でテレワークが進む一方、浜松ではオフィス勤務を希望する声がまだまだ強いと言う杉田さん。しかしながら、テレワークできる環境を整備することは、オフィス価値の面からも重要だと話します。

「実は、テレワークできる環境を整備することは、オフィスデザイン、ひいては企業価値を向上するために重要な観点ではないかと思っています。テレワークにより場所に捉われない働き方を実現できた企業では、従業員満足度や生産性の向上が見られるからです。

まず、机やイスが固定化されないので、レイアウトを大幅に変更できるのが大きいですね。カフェスペースやコミュニケーションエリアなどを新設し、社風まで変わった企業さまもあります」

造作家具とグリーンを組み合わせ、社員の自然な繋がりを感じられる空間へ
造作家具とグリーンを組み合わせ、社員の自然な繋がりを感じられる空間へ。参考:デクシィHP

一方で、パソコンがデスクトップだったり、社内ネットワークからでないとサーバーに繋げなかったりすると、改装を断念しなければならない場合が少なくありません。机やイスを動かせもせず、全体数を減らせもしないので、レイアウトを変更できないからです。

『机とイスが鎖につながった状態』と私は呼んでいますが、そのようにオフィス設計が旧来型のままでは、風土や社員の働き方も以前のままに……。

オフィス価値の観点からもテレワークの活用を検討してみるといいかもしれませんね。テレワークの導入といっても大がかりなことではなく、ノートパソコンへの切り替えとクラウドツールの使用がはじめの一歩だと思います」

拠点間をつなぐテレワーク環境、オフィスも働き方ももっと自由になれる

実はデクシィもテレワークを上手に活用してきた1社です。きっかけは、「外出先でファイルデータを閲覧できないなんて不便だ!」という杉田さんのお困りごと。ファイルサーバーのクラウド化にはじまり、オンライン上でできる仕事を増やしていったそうです。

お互いの働く姿を常時モニターに映しだすことで、対面しているのと変わらない雰囲気を演出している
お互いの働く姿を常時モニターに映しだすことで、対面しているのと変わらない雰囲気を演出している

総勢7名のデクシィ社員は、東京からフルリモートで参画している方を含め、4拠点に分かれて働いているそうです。

「私も外出が多いので、それぞれの拠点や業務をオンラインで繋ごうとするのは、必然の流れでした。そうした背景から少しずつデジタル化を進め、今では場所に縛られずに働ける環境ができ上がったと思います」

▼デクシィで行ったテレワーク環境の整備例

・グループウェアの導入:Google Workspaceを使用し、スケジュールやフォルダなどあらゆる情報をチーム内で一斉共有
・チャットツールの活用:文章コミュニケーションはSlackで気軽に
・クラウド会計ソフトの導入:経理業務と給与計算もオンラインでサクサク。人事労務は顧問社労士とクラウド連携
・見積りや請求書、納品書の自動作成ツールを導入、毎月の請求業務もラクラク
・スマホで受電・転送できるオフィス電話サービスへの切り替え

など

「オフィスも働き方も、もっと自由になれる」と、杉田さんは語ります。

「製造業の多い浜松ですから、『テレワークできない会社が多いだろうな』と内心では思っていました。ですが、デクシィの法人契約が増えていくのを見て、考えが改まりましたね。

たとえば、自動車関連部品の製造を手がけるソミック石川グループさま(※)の取り組みがとても勉強になります。対象となる350名の社員さんが『いつでも』『好きなときに』デクシィを使えるような法人契約をしていただいたのです。同社の社長さまや取締役さまも、よくデクシィでリモートワークされています。

社員を信頼し、自由な働き方を目指す方針が素晴らしいですよね。そうした様子を目の当たりにしているからこそ、『テレワークできない』というのは思い込みで、経営者の考え方次第だと感じるようになりました

※ボールジョイントを主力とする自動車部品メーカーの株式会社ソミック石川などグループ各社を取りまとめる株式会社ソミックマネージメントホールディングス(浜松市南区)さまの取り組みです。

働き方の変化に合わせて役割を変えてきたデクシィ。これからはどのようになっていきたいでしょうか?

浜松市内に『動きにいける場所』を増やしたいと思っています。たとえば、5~6人で集中してディスカッションできるような山あいの小屋ですとか、ちょっと仕事をするのに最適な海辺のワークスペースなど。社外に出るきっかけとなる小さなスペースをたくさん作りたいです。そうすれば、人的な交流が増え、発想もより豊かになっていくと思うので。そのようにして、この街のイノベーション創出に貢献していけたら嬉しいです

テレワークの実施、あるいはテレワークできる環境を整備することにより、自由な発想でオフィスがデザインできる。そのようにして、社員が自由な働き方へシフトし、創造性も高まっていくことを教えていただきました。

テレワークといっても大がかりな投資をいきなり行うのではなく、ノートパソコンへの移行とクラウドツールの導入がはじめの一歩です。企業価値向上の観点から、テレワークの価値を再度見つめ直してみてはいかがでしょうか?

参考:【新聞掲載】ソミックグループ様 法人利用契約について « 浜松市のオフィスデザイン・不動産仲介・シェアオフィスDexi【デクシィ】

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