テレワークにかかる費用負担を減らしたり、テレワーク導入のハードルを下げるために、国や行政から支援策を積極的に活用したいものです。ただ、何をどう活用できるか分からない方も多いのではないでしょうか?
このページでは目的と対象別に、テレワークに使える各種のサポートをまとめました。支援内容や対象範囲を確認し、使える補助金・助成金制度を見つけましょう。
テレワーク用の機器・ITツールを導入したい
「テレワーク用の機器やITツールを導入する費用が大きく、IT環境の整備になかなか踏み切れない」とお悩みではありませんか?そのような企業にぜひ活用してほしい補助金・助成金制度を3つ紹介します。
いずれもテレワーク用の機器・ITツールの導入に必要な経費を補助してもらえる制度です。テレワーク導入のハードルが下がるだけでなく、社内のIT環境整備や働き方改革にもつながるので活用できるとよいでしょう。
ただし交付金額が予算に達し次第、応募が締め切られてしまうので、申請は早めに検討してください。
IT導入補助金(通常枠)|ITツールの導入経費を補助
IT導入補助金(通常枠|A・B類型)を用いることで、テレワークなどに必要なITツールの導入経費を補助してもらえます。生産性の向上に役立つITツールの導入経費が、最大450万円まで給付されます。
ただし、補助対象となるITツールは、プラットフォーム上にあらかじめ登録されているものに限られます。好きなITツールを選んでも対象外の可能性もありますので、注意しましょう。
IT導入補助金の活用がおすすめできるケース
- 導入したいテレワークツールがある
- 業務効率や売上アップのために導入したいITツールがある
- デジタル化を見据えた法改正に対応するため、ITツールの導入を考えている
申請時に求められる情報
- 自社事業の強みと弱み
- 弱みをカバーするためのITツール
- ITツールと連携することで強化したい部署や部門
あわせて、ITツールの導入で生産性や売上げがどのように向上するかを示す「事業計画」の提出が求められます。計画数字の策定が必要なほか、ITの専門知識が必要な場面もあるため、申請書類の作成はITツールのベンダー(IT導入支援者)と共同で行うとよいでしょう。
IT導入補助金(通常枠)の概要は、以下のとおりです。
対象者 | 中小企業・小規模事業者・個人事業主※定義は補助対象者のページを参照 |
補助の額(補助率) | 30〜450万円(費用総額の1/2) |
対象経費 | 以下のいずれかの機能(「プロセス」と呼ばれます)を持つソフトウェア費や導入関連費 顧客対応・販売支援決済・債権債務・資金回収管理調達・供給・在庫・物流会計・財務・経営総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス業種固有汎用・自動化・分析ツール など ※申請に必要なプロセス数は申請枠によって異なります ※対象ツールは対象ツールのページを参照 |
申請方法 | Web申請 |
締切日 | 4次締切分:11月17日(水)17:00 5次締切分:12月中予定 |
2021年度中の活用を考えている方は、5次締切分までに申請できるよう準備を進めましょう。
参考:IT導入補助金2021
人材確保等支援助成金(テレワークコース)|良質なテレワークにより人材確保や労務改善に効果を上げた企業へ支給
人材確保等支援助成金(テレワークコース)は、良質なテレワークを新規導入・実施することで、人材確保や雇用関係の改善などに効果をあげた中小企業事業主に最大200万円が交付されます。
テレワーク用通信機器の導入・運用や就業規則をはじめとする社内制度の整備にかかる費用が対象です。厚生労働省が支給している雇用関係助成金の1つであり、人材確保や雇用管理状況の改善などを期待できるのが特徴です。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)は、以下の2段階申請方式です。
- 機器等導入助成:テレワーク実施計画にもとづいた取り組みに対して支給
- 目標達成助成:離職率にかかる目標達成に応じて支給
まずは労働局から承認を受けたテレワーク実施計画を実施し、取り組みにかかった経費の助成を申請します。続いて、評価期間後(※)1年間における離職率が目標を達成した場合に、その成果によっても助成金を申請できます。
※評価期間|テレワークの実施状況や目標達成を判断する期間。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)がおすすめできるケース
- テレワークが未実施で、就業規則などにテレワークに関する規程がない
- テレワークを通じて労務管理の効率化や働きやすい職場づくりに取り組みたい
- テレワークを社内に定着するための研修や教育、制度を整備したい
申請時に求められる情報
- テレワークの実施計画
- テレワークの実施状況、助成要件の達成状況が分かる資料
- テレワークを実施する社員や場所の対象範囲
- 労働協約または就業規則内におけるテレワーク関連制度の整備
テレワーク規程の整備や評価期間内(※)におけるテレワーク実施が要件に含まれるため、テレワークを定着させるきっかけになります。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)の概要は、以下のとおりです。
対象者 | テレワーク未実施かつ過去にテレワーク導入に関する助成金などの支給を受けていない中小企業 |
補助の額(補助率) | (1)成果目標達成:100万円まで(30%)(2)成果目標未達:100万円まで(20~35%) |
対象経費 | 以下の取り組みに対する経費(いずれか1つ以上) 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更(必須)外部専門家によるコンサルティング労務管理担当者に対する研修労働者に対する研修 |
申請方法 | 郵送・労働局窓口 |
締切日 | 記載なし |
評価期間内に①1回以上テレワーク実施対象労働者全員がテレワークを実施する、もしくは②テレワーク実施対象労働者が週平均1回以上テレワークを実施することが求められます。テレワークの対象範囲や実施方法を考えるきっかけとしましょう。
参考:人材確保等支援助成金(テレワークコース) – 雇用・労働
浜松市新型コロナウイルス感染症対策デジタル化補助金|テレワーク関連の取り組みを広くカバー
浜松市新型コロナウイルス感染症対策デジタル化補助金では、感染症対策や3密回避をはじめとする「新しい生活様式」への対応や、「新しい働き方」の実現、「業務の効率化」を目的としたデジタル化を支援します(テレワークに関するデジタル化の取り組みは「新しい働き方」に該当)。
浜松市内に事業所や店舗を置く中小企業や個人事業主に限定されますが、中小法人などで20万円、個人事業主などで10万円まで交付されます。
補助対象となる経費項目は幅広く、システム導入にかかる費用のほか、以下のような物品購入費やサービス利用料なども対象となります。
経費区分 | 例 |
---|---|
システム導入費用 | ・ソフトウェアの購入・システム導入にかかる機材の経費 |
備品・消耗品等の物品購入 | パソコン・モニター・タブレット端末・プリンタ・スピーカー・キーボード・マウスなど |
登録料・利用料・手数料 | インターネット回線利用・SIMカード使用料・プロバイダ料金など |
賃貸料、リース料 など | ソフトウェア・情報システム機器の賃借料、サーバリース料など |
外注費(委託費用) | IT ツール、システム開発・ECサイトやホームページ構築など |
保守サポート | 導入システムや機器の保守 |
補助対象外の経費(※)に当てはまらなければ、ほかの助成金や補助金もあわせて申請できます。
浜松市新型コロナウイルス感染症対策デジタル化補助金の概要は、以下のとおりです。
対象者 | 新型コロナウイルス感染拡大の影響で2021年8月もしくは9月の売上が、2020年もしくは2019年の同月と比べて30%減少している浜松市内の中小企業・小規模事業者・個人事業主 |
補助の額(補助率) | 中小法人等:上限20万円個人事業主:上限10万円 |
対象経費 | 以下を目的としたデジタル化への取り組みに対する経費 ・新しい生活様式への対応 ・働き方改革 ・業務効率化による事業の改善や生産性の向上 |
申請方法 | 郵送・Web申請 |
締切日 | すでにデジタル化に取り組んでいる場合:2022年1月31日(月)まで(事後申請) これからデジタル化に取り組む場合:2021年11月30日(火)まで(事前申請) |
テレワークにすでに取り組んでいる企業とこれから取り組む企業では、締め切りと申請タイミングが異なるため注意しましょう。
※補助対象外の経費について|浜松市の次の補助事業において支援を受けたまたは受ける見込みがある場合、同一事業における同一経費を重複して申請することはできません。浜松市3密対策事業者支援事業費補助金
浜松市飲食店パーテーション設置支援事業費補助金、浜松市飲食店3密対策事業者支援事業費補助金、浜松市飲食店感染対策補助金、はままつ安全・安心認証店 PR 補助金 、浜松市新しい生活様式支援天竜材活用事業費補助金、浜松市ものづくり販路開拓事業費補助金
ウィズコロナ・ポストコロナを踏まえた事業転換をしたい
とくに対面や外出を必要とする業界では、コロナ禍をきっかけに事業転換を迫られた企業も多いと思います。しかしながら思い切った変革には大きな費用が必要なため、一歩を踏み出せずお悩みの方も多いのではないでしょうか?
実は、非接触でのサービス展開やオンライン化に対応したい企業に向けた補助金・助成金制度が活発です。2022年以降も継続されるか分からない制度が多いため、2021年度中の活用を検討してみてください。
IT導入補助金(低感染リスク型ビジネス枠)
IT導入補助金(低感染リスク型ビジネス枠|C・D類型)では、ウィズコロナ・ポストコロナに対応したビジネスモデルへの転換に向け、非対面化ツールを導入する経費を補助します。補助率は3分の2と通常枠(2分の1)よりも高く、優先的な支援を得られるのが特徴です。
IT導入支援事業者として登録されているITベンダー・サービス事業者と共同で申請できるため、活用しやすい補助金制度です。ITツールは任意で選び申請できるのではなく、あらかじめ定められたITツールのみが対象となることに注意ください。
- 申請したいITツールがある場合:ITツール一覧のページで対象となるかかどうかをチェック
- 申請したいITツールが決まっていない(IT導入補助金を活用してITツールの拡充を目指したい)場合:付き合いのある商社やITベンダーにIT導入補助金の活用を相談、おすすめのITツールを提案してもらう
IT導入補助金(低感染リスク型ビジネス枠)の概要は、以下のとおりです。
対象者 | 中小企業・小規模事業者・個人事業主※定義は業種によって異なります |
補助の額(補助率) | 30〜450万円以下(費用の2/3) |
対象経費 | ソフトウェア費・導入関連費など(非対面化ツールの導入が必須)※対象ツールのページを参照 |
申請方法 | Web申請 |
締切日 | 4次締切分:11月17日(水)17:00 5次締切分:12月中予定 |
2022年のIT導入補助金には低感染リスク型ビジネス枠が設けられるか未定のため、5次締切分までに申請できるよう準備を進めましょう。
参考:IT導入補助金2021
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)|非接触かつ新しい取り組みを補助
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)は、ポストコロナへのチャレンジを支援する補助金です。具体的には、①人との接触を減らす ②新しい取り組み にかかる経費の一部を補助します。
リアル・対面を基本としてきた事業・業種をおもな対象とし、補助額は100万円で補助率は4分の3と費用負担の軽減に役立ちます。
たとえば、以下のような取り組みが過去に採択されています。
- ECショップの開設による対人接触機会の減少と売上のV字回復
- 本格中華料理を家庭で満喫できるテイクアウトシステムの導入
- オンライン授業の開始にあたりプロモーション動画の制作
徐々に応募件数が増えていますが、採択率は第1回で44.9%、第2回は52.5%と向上しました。対象の方は積極的な活用をおすすめします。
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)の概要は、以下のとおりです。
対象者 | 小規模事業者・個人事業主 ・商業、サービス業:常時使用する従業員の数が5名以下 ・宿泊業、娯楽業:常時使用する従業員の数が20名以下 ・製造業そのほか::常時使用する従業員の数が20名以下 ※定義は業種によって異なります |
補助の額(補助率) | 100万円(経費の3/4)※感染防止対策費のみ経費の1/4(最大 25 万円)が上限。 |
対象経費 | 対人接触機会の減少の取り組みに対する経費 |
申請方法 | Web申請 |
締切日 | 第4回:2021年11月10日(水) 第5回:2022年1月12日(水) 第6回:2022年3月9日(水) |
2022年3月締切分まで公表されていますが、回を重ねるごとに応募件数が増えているため、早い締め切りで申請することをおすすめします。
参考:<低感染リスク型ビジネス枠>小規模事業者持続化補助金
参考:令和2年度第3次補正予算 小規模事業者持続化補助金 <低感染リスク型ビジネス枠>第1回受付締切分採択者一覧
事業再構築補助金|コロナ禍に苦戦している企業の事業転換を支援
事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナを見据えて事業を再構築する会社の経費を補助してくれる制度です。新分野への展開をはじめとする思い切った事業再構築が補助対象になります。
補助金枠や企業規模にもよりますが、最大で1億円と非常に大きな補助額が交付されるのが特徴です。第1回の応募総数は約5,000者でしたが、第2回の応募総数は2万者を超えました。人気のある補助金制度なので、事前準備を徹底しましょう。
申請の際には、見込み事業計画を策定をしなければなりません。以下のいずれかを事業終了後3~5年に達成することを示す必要があります。
- 付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上の増加
- 従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上の増加
具体的な見込み事業計画を策定しなければ採択されるのが難しいため、時間をかけて作成しましょう。事業再構築補助金の概要は、以下のとおりです。
対象者 | コロナ禍以前(2019年または2020年1~3月)から一定割合の売上高が減少している中小法人・個人事業主 |
補助の額(補助率) | 100万円~最大1億円(経費の1/2~最大3/4) ※企業規模や申請枠によって細かく分かれます 例)通常枠 ・従業員数20人以下:100万円~4,000万円 ・従業員数21~50人:100万円~6,000万円 ・従業員数51人以上:100万円~8,000万円 |
対象経費 | 新分野への展開・チャレンジにかかる経費事業転換・業種転換・業態転換・事業再編にかかる経費例)機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、クライドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費など |
申請方法 | Web申請 |
締切日 | 第4回:事業再構築補助金の公式サイトにて公開予定 |
直近では2021年9月21日に第3回の締め切りが終わりました。今後の公募については、公式サイトで公開されるため、こまめにチェックしましょう。
また、事業再構築補助金を申請する際は、通常枠の活用がおすすめです。そのほかの枠は、採択者数の上限がすべての公募回の合計で150社や400社までと決まっているためです。
参考:事業再構築補助金
テレワークに関する補助金・助成金を申請するときの大まかな流れ
手続きをスムーズに進められるように、補助金・助成金の申請について大まかな流れをご紹介します。補助金・助成金の申請方法を5ステップで解説します。
ステップ1.申請したい補助金・助成金制度をピックアップする
テレワークに関する補助金・助成金制度を調べ、気になるものがないか見つけましょう。申請書類や計画書を作成にはある程度の時間がかかるため、早めにピックアップするのがポイントです。
もしくはお付き合いのある社会保険労務士や士業に相談し、使える補助金・助成金を調べてもらうのも手です。
ステップ2.公募要項から支援対象の事業者や事業内容を確認する
公式サイトに掲載されている公募要項を読み、支援対象を確認します。申請者の事業形態や規模、事業内容によって対象が異なるので注意しましょう。対象範囲が不明瞭な場合は、各補助金・助成金の問い合わせ窓口に確認してください。
ステップ3.申請書類や計画書を作成する
採択の確率を高められるように、申請書類や計画書の作成には以下4つのポイントを押さえましょう。
- 第三者が見て分かりやすいよう数字やデータは図表やリストにまとめる
- 申請経費を費やしたあとの効果を具体的に示す
- ネガティブに捉えられる可能性がある情報を書かない
- フリー記入欄を活用し、根拠や説明文を丁寧に記載する
数字や図表を用いて簡潔でわかりやすい記載を心掛けます。また制度を活用した後の効果を具体的にすることを意識してください。
ステップ4.必要書類を準備する
法人か個人事業主かなど事業主によって必要書類が異なるため、よく確認して準備しましょう。
ステップ5.申請する
補助金・助成金ごとに申請方法が異なります。要件を確認して、郵送・窓口・Webいずれか指定の方法で申請しましょう。
まとめ:補助金・助成金制度を活用してスムーズにテレワークを導入しよう
テレワークの導入や実践を支援してくれる施策が充実しています。自社にあう制度を見つけ、テレワークにかかる費用負担や疑悩みを軽減させましょう。
新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワーク支援が活発な今だからこそ、各種の支援策を積極的に活用してください。