STEP1 社内の意識改革の次は、ロードマップを作成しましょう。
「テレワークにする!」と決めたからといって、その翌日からリモートで働けるわけではありません。テレワークを定着させるためには、準備から導入までの計画が必要となります。
この計画をロードマップとして見える化することで、関係者の理解を得ながらテレワークを導入できるのです。
そこで今回は、テレワークの導入におけるロードマップの作り方を解説します。
テレワークの導入はロードマップの作成でうまくいく!
ロードマップとは、プロジェクト(目的)達成のための大まかな計画を可視化したものです。
やるべきこと(工程)を具体的に書き出して担当者を決め、スケジュールを組み立てることでプロジェクトを計画的に推進できます。
テレワークの導入も、「とりあえずITツールを導入してやってみる」という無計画なやり方では上手くいきません。現状把握や社員への説明会も含め、やるべきことを洗い出し、ロードマップに落とし込みましょう。
5ステップでできるテレワークのロードマップ作成
ロードマップの作り方を具体的な5ステップで紹介します。それぞれのステップでやるべきことを整理し、担当者やスケジュールを可視化しながら、計画的なテレワーク導入を目指しましょう。
ステップ1:IT環境と業務の現状を棚卸しする
まずすべきことは、社内のIT環境と業務の現状を把握することです。
IT環境のチェックポイント
- 社員が使っているデバイスの種類
- 社内のネットワーク構成図とセキュリティのあり方
- データ管理におけるオンラインストレージ活用の有無 ほか
業務内容のチェックポイント
- 各部署の業務内容(経理部の例:請求書作成、経費処理、売上管理、など)
- 各部署の業務の流れ(経理部の経費処理の例:社員から申請書を集める→申請内容と領収書の照合→……)
各部署の業務を成り立たせる要素とIT環境を「見える化」することで、はじめてステップ2から先へ進めるようになります。
ステップ2:テレワークの対象範囲を決める
ステップ1で棚卸しした内容から、どの業務をテレワークへ移行できるのか検討します。
さまざまな角度から検討することで、テレワーク対象となる業務が仕訳できます。
- テレワークに移行しても支障が少ない業務(メールのやり取りや事務作業など)
- ITツールを導入すればテレワークに移行できる業務
- 紙やハンコをなくせばテレワークでも可能な業務
- 制度や仕組みを変えればテレワークできる業務
ほとんどの業務がテレワークに移行でできそうだとなれば、「出社を要する業務はまとめて週に1日にする」ことも可能でしょう。
ステップ3:必要な費用を算出する
ステップ2で決めた業務をテレワークに移行するためにはいくらかかるのか、予算を算出します。テレワーク機器やITツールを購入するなど、IT投資の必要な部分があるためです。
ステップ4:やるべきことを書き出す
テレワークを実現するためにやるべきことをTODOレベルで具体的に書き出していきます。
- 社員へのヒアリング(IT環境の現状や業務の負担など)
- テレワーク機器の発注
- ITツールのパソコンへのインストール
- ITツールの説明会開催 など
あとから整理してもよいので、思いつくTODOは一旦すべて書き出してみましょう。
ステップ5:誰がいつまでにやるかを決める
ステップ4でやるべきことを書き出したら、誰がいつまでにやるのか決めます。一つひとつのTODOに対して細かく決めるより、大枠で「いつ頃までに完了する」といった決め方で問題ありません。
テレワークを成功させるロードマップ作成のコツ
テレワークの導入を成功に導くロードマップ作成のコツを5つ紹介します。
テレワークできる業務とできない業務を分けて!
業務を棚卸ししたら、テレワークできる業務とできない業務に分けて整理することが肝心です。
テレワーク導入は「何がなんでもすべての業務をテレワークにしなければならない」というものではありません。できるところから始めていきましょう。
何を、誰が、いつまでに実施するかを忘れずに!
やるべきことを書き出したら、「何を、誰が、いつまでに」やるのか明確化してタスクに落とし込みましょう。
タスクは表計算ソフトなどに書き出し、テレワーク推進プロジェクトのメンバーで見えるようにします。それぞれのタスクが期日までに完了しているかを確認しながら、着実に準備を進めることが大切です。
ヒアリングするなら素直でバランス型の社員!
テレワーク導入にあたり社員の声を聞く場合は、会社目線と従業員目線の両方を持っているバランス型の社員に意見を聞くのがおすすめです。
良い面と悪い面どちらの意見も素直に話してくれるタイプの社員だと、テレワークの導入に必要な意見を漏れなく聞けます。
目に見えない“必要期間”に注意して!
テレワークを導入する際、目に見えない「必要期間」が発生することに注意が必要です。
たとえば、
- テレワーク機器を発注してから届くまでの時間
- 見積もりの取得にかかる時間
- テレワークの方法・ルールのレクチャー期間 など。
スケジュールを立てる際には、つい「点」でやるべきことを考えがちですが、タスクによっては「線」としてある一定の期間を要することを想定しなければなりません。
ハードルが高くても経営上のメリットが大きな業務は、中長期でテレワークに取り組んで!
今すぐにテレワークへ切り替えるのが難しいことでも、経営上のメリットが大きい業務は、テレワーク化に積極的に取り組みましょう。
実現するハードルが比較的高い業務であっても、生産性や利益率および従業員満足度の向上などに大きく寄与するのであれば、テレワーク化を検討する価値があるからです。
- 工場での作業を自動化する
- 基幹系システムをクラウド化する
- 緊急時は社員全員が出社せずに自宅で働ける環境を整備する など。
「今できること」から始め、さまざまな業務を段階的にテレワークにシフトチェンジしていくと良いでしょう。
まとめ:テレワークの導入前にロードマップを作成しよう!
テレワークを導入するにあたっては、ロードマップという「目的達成のための計画書」を作りましょう。
IT環境や業務を「見える化」し、どの業務をテレワークに移行するか考え、そのためにやるべきことや費用などを洗い出します。そして担当者を決めてスケジュールに落とし込み、やるべきことを計画的に実施していきます。
現場や社員の声を聞きながらロードマップを作成することで、テレワークのスムーズな導入が実現します。ぜひロードマップの作成に取り組んでみてください。