STEP3 労務管理・就業規則を見直そう

テレワークを導入する際に、労務管理ルールと就業規則をどう見直したらよいのかお悩みではありませんか?

テレワークにより働き方が変わると、労働条件も変更しなければいけない場合があります。また、テレワーク中にどのように労働時間の把握や休憩時間の取り扱いを行うかも検討が必要です。

労働基準法に規程される「労働者」には、テレワークを行う場合においても労働基準関係法令が適用されます。

そのため今回は、テレワークにおける労務管理と就業規則の整備方法について解説します。

目次

テレワークになったら就業規則の変更は必要?

結論から言うと、働く場所が変わるだけで「働き方」が変わらないのであれば、就業規則が不要となるケースもあります。ただし、テレワークを実施することで就労ルールや労働条件が変わる場合は、就業規則の変更が必要です。

働く場所が変わるだけなら変更しなくていい

テレワークに移行しても、働く場所が変わるだけで「働き方」が変わらない場合は、就業規則の変更は不要です。

厚生労働省が作成・公開している「テレワークモデル就業規則〜作成の手引き~」には、「通常勤務とテレワーク勤務において、労働時間制度やその他の労働条件が同じである場合は、就業規則を変更しなくても、既存の就業規則のままでテレワーク勤務ができます」と記載されています。

始業・終業時刻や休憩時間が変わらないのであれば、テレワーク用に就業規則を見直さなくても対応できます。

実務上はさまざまな変更が発生する

働く場所が変わるだけならば就業規則の変更は不要とお伝えしましたが、実際にテレワークを運用してみると「働き方」も変わってくる場合が多くあります。働き方以外にも、賃金や手当、費用負担の内容などに変更が生じるかもしれません。

  • 始業/終業時刻
  • 休憩時間
  • 中抜けの申請方法
  • 賃金の条件と算出方法
  • 手当の規定(通勤手当など)
  • 費用負担(通信費など)

就業規則に記載されているこれらの労働条件が変わる場合が多いため、テレワークを導入する会社では就業規則を改変するのが一般的です。

就業規則を変更するか、テレワーク勤務規程を別につくる

テレワーク導入に際し就業規則を見直す場合は、次の2つのいずれかの方法を選びます。

  • 就業規則そのものを変更する
  • テレワーク勤務規程を新しく作成する

一部の部署や業務をテレワークに移行する場合は、テレワーク用の勤務規程を新たに作る方が、労働条件やルールが分かりやすくまとめられます。

就業規則そのものを変更しようとすると「テレワークの場合」という条件が付加され、内容が複雑になってしまうこともあるからです。

全社的にテレワークを導入する、または一定基準を満たした社員全員がテレワークを選択できる体制を整える場合は、就業規則そのものを変更するのが好ましいでしょう。

テレワークで変更が必要になりやすい就業規則のポイント5つ

テレワークで変更が必要となることが多い就業規則のポイントは次の5つです。

1.労働時間の把握

使用者は、労働時間の適正な管理のために、従業員の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録する必要があります(労働時間の適正な把握のために使用者が高ずべき措置に関する基準・平成13.4.6基発第399号)。始業・終業時間や休憩時間を電子記録で残すなどの変更が必要です。

通常の労働時間制やフレックスタイム制のほかに、一定の要件を満たせば、事業場外みなし労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制も活用できます。

2.手当や費用負担

テレワークでは電話やパソコンなどの情報通信機器、通信費などのほか、光熱費や備品購入費などの必要経費あるいは手当も発生します。費用負担のルールを明確に定め、従業員に負担させる場合には就業規則への明記が必要です。

3.人事評価

「社員の働きぶりが見えづらい」テレワーク下の労働を正当に評価するための評価基準が新たに必要となります。

4.労働条件

テレワークの対象者や就労場所など、あらゆるパターンを漏れなく検討し、細かい労働条件を取り決めて記します。

5.作業環境の管理

自宅で作業する際の環境(部屋の温度やディスプレイの明るさなど)について、業務を滞りなく遂行できるような基準を定めます。

参考:厚生労働省|テレワークにおける 適切な労務管理のための ガイドライン

テレワークの労務管理・就業規則でよくある悩み

テレワーク時は会社へ出勤する勤務とは異なる環境で業務を行うため、労働時間や業務の管理方法についてルールを決めておくことが大切です。

とくによくあるお悩みが、人事評価と労災認定、そしてテレワーク対象部門と非対象部門との不公平感についてです。

テレワークの労務管理や就業規則でよくあるお悩みと、その解決策を3つご紹介しますので、参考にしてみてください。

お悩み1.テレワーク中の人事評価が難しくって……

勤務態度のチェックが難しく、成果につながる行動プロセスを把握しづらいテレワークでは、どのように公平な人事評価を行えばよいでしょうか?次の方法が考えられます。

  • 成果項目のウェイトを上げる
  • 求める成果と1日ごとのタスクを明確にし、評価項目にあいまいさを残さない
  • 通話やビデオチャット、テキストチャットなどで進捗を細かく確認する
  • 仮想オフィスやプレゼンス管理を取り入れて、定性評価につながる情報を取る
  • 定期的に1on1面談を実施し目標や意欲を確認する

半年以上の勤務態度を加味してテレワークを許可する例も多くあります。勤務状況が見えづらいテレワークだからこそ、査定の根拠となる情報や評価項目の整備をより慎重に行いましょう。

お悩み2.テレワーク中の事故・ケガは労災認定される?

テレワークであっても、勤務時間中に起きた事故やケガは労災認定されます。ただし、ここで問題となるのが「私的行為」と「業務上の行為」の切り分けです。

たとえば「自宅で転んでケガをした」というシチュエーションで、それが業務上のものか、業務にまったく関係ない私的行為なのか、立証する必要があります。

労災を考えるときに気を付けたいポイントは下記の通りです。

  • 勤務時間(始業と終業の時刻)や休憩時間を正確に把握する
    中抜け時間の取り扱いも含め、仕事時間と私的な時間との線引きを明確にしておく必要があります。
  • 事故やケガが生じた理由と状況のヒアリング
    どのようなシチュエーションで、何をしていてケガをしたのかを確認します。
  • 就業環境への配慮
    テレワークを行う際の作業環境に配慮していたかどうかが問われます。安全衛生に配慮したテレワークが実施されるよう、会社は社員に教育・助言などを行う必要があるためです。

お悩み3.職種による不公平感は和らげることができる?

テレワークを部分的に導入する企業の方は、テレワーク勤務者とオフィス勤務者の間に不公平感が生じないか懸念されるでしょう。とはいえ、テレワークを全社に導入できる企業ばかりでもありません。

大事なのは、テレワーク対象となる基準や理由を明確にすることと、双方の負担・不安をやわらげる仕組みを検討することです。

テレワーク側の不公平感の例

  • 正当な評価を受けられるか不安
  • 連絡の回ってくるのが遅い/漏れがある
  • 通信費や自宅の電気代を負担しなければならない

■オフィス出勤側の不公平感の例

  • 通勤の負担が大きい
  • 電話や来客の対応をしなければならない
  • つねに働きぶりを監視されている気がする

これらの不公平感を和らげるためにできることを考えて実行することが、全社的な従業員満足度を高めることにつながります。

  • やむを得ずオフィスに出社する社員には出勤手当を出す
  • オフィスを縮小するなどして削減したコストから在宅勤務手当を支給する
  • 工場やオフィス勤務の社員にも、現場での作業が不要な日はテレワークを許可する
  • テレワークの社員と情報共有をスムーズにできるよう連絡体制を整える
  • テレワーク社員とオフィス出勤社員がコミュニケーションを取る機会を設ける

定期的に社員の声を聞き、就業規則やルールを見直すことが大切です。

参考:テレワーク下での「通勤手当」と「在宅勤務手当」、どうやって支給する?

参考:一部従業員の出社を限定的に再開「こんなときに出社ごめんね手当」の支給決定

まとめ:テレワークのための労働管理・就労規則を作ろう

テレワーク導入により働き方が変わると、勤怠管理や人事評価の方法を変更する必要が生じます。そのため、就労規則を変更するか、テレワーク用に規程を新しく作成しなければなりません。

労働時間や就労環境、評価の方法、手当や費用負担など、テレワーク下で考えられる不安や課題に寄り添いながら、整備を進めましょう。テレワークをきっかけに、より働きやすい職場の整備を進めてください。

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