テレワーク体制の整備が「独立自尊」の文化を育み、働きやすい職場の実現につながる

株式会社 Wewill                                   
本社所在地:静岡県浜松市中区高林1丁目8-43
従業員数:9名
事業内容:・バックオフィスリモートサービス(経理・労務)
     ・Saas導入サポートサービス
     ・業務改善コンサルティング
会社ホームページ:https://wewill.jp/

目次

代表者が語るテレワーク

株式会社Wewill(以下、Wewill)は、中小企業の業務改善や経営課題の解決を支援するスタートアップです。早くから業務のデジタル化に取り組み、新型コロナウイルスの流行後もすぐにテレワークへ切り替えました。代表取締役の杉浦 直樹 さんと山本 景子 さんに、同社の取り組みについてお話をうかがいます。

代表取締役の杉浦直樹さん

コロナ禍での全国一斉臨時休校を機にテレワークへ

杉浦氏: Wewill でテレワークの導入を検討したのは、2020年の2月下旬でした。新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、緊急事態宣言が発令されたのがきっかけです。

同年3月に入り、お子さんの通っている学校が休校となってしまったメンバーもいました。そのとき「家でもやれる仕事は家でやるようにしよう」と社内に発信し、本格的にテレワークに切り替えたという流れです。

ただ、コロナ以前から、オフィスに行かなくても仕事ができる環境は整えるようにしていました。お客様の大切な会計や人事労務のデータをお預かりする業務なので、紙ベースで仕事をするのが大きなリスクとなるからです。クラウドサービスなどを活用し、オンラインで作業を行う/行える環境を作ることを大前提としてきました。

とはいえ、テレワークを制度として整えていたわけではありません。ですので、本格的なテレワーク導入を進めるときにまずしたことは、就業規則の整備でした。就業規則の内容をテレワーク用に見直しましたが、これがなかなか有意義でした。Wewillらしい働き方を改めて考えられたからです。

社会保険労務士の先生方や人材支援のプロを交え、テレワーク用に就業規則の内容を見直したディスカッションの様子

杉浦氏: 具体的には、 Wewillの行動原則である「独立自尊」をテレワーク下でも体現するには、どうしたら良いかと考えました。どのような仕組みや勤務形態、ITツールが必要になるか、就業規則の全項目を見直したのです。

※そのときの様子は、こちらよりご覧いただけます。

テレワークを導入してから1年が経ちました(2021年3月時点)。今ではテレワークが働き方の1つの選択肢として機能しています。通勤時間を節約したいならテレワークでも良いし、オフィスのほうが集中できるならオフィスで仕事しても良い。そのとき・個別の状況に応じて最高のパフォーマンスを発揮しやすい仕事環境をメンバー自ら選べることが、 Wewillらしい働き方の一助となっています。

BCP対策から「独立自尊」の実現まで、 Wewillがテレワークで得た3つの効果


経営者の立場から見て、テレワークの効果は思った以上に大きかったと感じています。大きく分けて3つの効果がありました。

1.包括的なBCP対策になった
2.メンバーが「独立自尊」の行動原則をより発揮しやすくなった
3.ライフイベントの際にも働き続ける選択がしやすくなった

1.包括的なBCP対策になった

Wewillでは早期よりクラウド会計ソフトのfreeeを導入二つ星アドバイザーに認定、その後、県内唯一の五つ星アドバイザーを獲得している(2021年3月現在)。画像引用・参考:freee公式HP

杉浦氏: テレワークができるということは、有事に強い仕事環境であることとイコールだと思います。業務のマニュアル化とオンラインで作業できる環境作りを進めなければ、テレワークを実装できないからです。当然、データはクラウド上に入力・保管するのが基本となります。

これにより、緊急時にも事業を継続できたり、なるべく早い段階で業務を復旧できたりします。例えば、地震や台風といった自然災害が起きてしまったとしても、大切なデータを失なわずに済みます(※)。


※浜松市には、2018年10月に大型の台風24号が上陸し、大規模な停電や断水で大きな被害を被った。南海トラフ巨大地震の発生も懸念されている。

2.メンバーが「独立自尊」の行動原則をより発揮しやすくなった

杉浦氏:Wewillの行動原則は「独立自尊」です。私たちは、メンバーが主体的かつ自律的に働ける組織を目指しています。テレワークを導入してから、メンバーがそれぞれの「独立自尊」をより発揮できるようになったと感じています。

私が思うに、プライベートと仕事が融合し、より責任感を持ってスケジュールやタスクを管理しなければならなくなったことが理由です。細かな指示命令が難しくなったことも奏功したかもしれません。これにより、自分で考え何とかしようとする意識が強くなったのだと思います。

3.ライフイベントの際にも働き続ける選択がしやすくなった

杉浦氏: 育児や介護といったライフイベントへの対応にもテレワークは有用です。結婚や出産を機に仕事の比重を抑え、子どもとの時間を大切にしたい人がいます。介護に時間を割きたい人もいますし、プライベートと仕事の比重を変えたい状況になることもあるでしょう。

Wewillでは、メンバーは会社の利益に貢献し、その分会社もメンバーの人生に貢献するという両輪の関係性を大切にしています。テレワークという選択肢があれば、在宅で働き続ける選択がしやすくなります。これがメンバーの貢献に対してWewillが提供できる貢献の1つの形であると考えています。

世の中やメンバーの状況にあわせて働き方もアップデートしていきたい

杉浦氏:テレワークの働き方や取り組みは、世の中の動向にあわせて変え続けようと考えています。会社やメンバーの成長にあわせても変えなければいけない部分があるでしょう。現状のテレワークをベータ版と位置付けて、これからもアップデートしていきたいと思います。

その中で大切なのは、テレワークを目的にしないことだと思います。Wewillにとってのテレワークは、BCP対策であり、生産性向上の手段であり、「独立自尊」の1つの形です。そして、テレワークがこれからも、メンバー1人ひとりの理想の生き方を実現する助けになればうれしいです。

社員が語るテレワーク

山本 景子さん

会計・人事労務の管理業務も、事前のデジタル化によりムリなくテレワークへ移行

山本氏:私の業務は、クライアント企業さまの会計と人事労務管理の支援です。会計入力や勤怠管理といった業務のほとんどは、SaaSを使いクラウド上で行っています。業界のまったく異なる3社を担当していますが、テレワークでの業務は可能です。ただ、打ち合わせや資料の受け取りといった周辺業務については、クライアントのオフィスにお邪魔して行っています。

週5日勤務のうち、クライアント先で勤務するのが2日、テレワークによる在宅勤務が2日。残りの1日は、Wewillのオフィスに出社しています。会計業務は月初や月末に忙しさのピークが来ますので、状況に合わせて勤務場所をうまく使い分けています。

コロナウイルスの感染拡大にともない緊急事態宣言が発令され、Wewillでも緊急的に在宅勤務への変更が必要になりました。ですが、勤務場所がオフィスから自宅に変わったくらいで、業務はいつもと変わらず進められたように思います。「意外とできちゃうものだな」と不意を突かれたような気持ちでした(笑)。

比較的スムーズにテレワークへ移行できたのは、これまでフルリモートに近い働き方を実施していたからだと思います。ペーパーレス化へ積極的に取り組んでいましたし、業務システムのクラウド化もほぼ達成していました。クライアントとのやり取りは、ビジネスチャットツール上が基本。そうした時期がある意味での助走期間になっていて、今考えると必要な期間だったと思います。

その後、就業規則も見直され、2021年からはコアタイムなしのフレックスタイム制が導入されました。働く場所だけでなく、勤務スケジュールも自分で管理できるようになり、より魅力的な働き方になったと感じています。仕事の合間に子どもの授業参観会に行ったり、ちょっとした買い物をしたり、と自分の責任の範囲内で勤務しています。フレックスタイム制は出退勤の時間を自分で決められる勤務形態なので、土曜日に仕事をすることも可能です。

コミュニケーション不足をチャットツールと社内SNSで解消

山本氏: 業務の進め方で苦労したことはほぼありません。ただ、オフィス勤務では当たり前だったカジュアルな会話が少なくなって、テレワーク中に孤独を感じることはありました。

そんなコミュニケーション不足を補うために、チャットツールのChatworkとグループアプリのBAND(バンド)が導入されました。それぞれ、業務連絡用と社内の雑談用に分けて使って良いとのこと。ただ、はじめは何をどこまで投稿して良いのか悩みました。

そこで、「無理やりでもコミュニケーション」をキャッチフレーズに、自分から積極的に情報を発信するようにしたのです。メンバーの投稿に対して絵文字で反応するなど、リアクションも多めにしてみました。

じつは、ほかのメンバーも同じように考えていたようです。メンバーが投稿を迷っている内容があると、「ぜひ投稿してほしいです!」といったフォローもありました。そのうち全体の会話量がだんだん増えコミュニケーションの敷居が下がっていきました。

今では、お子さんの出産といったプライベートな報告も気軽に投稿されるようになり、カジュアルな会話が普通になったと感じます。

社内SNS「BAND」上のやり取り

山本氏: 仕事を進めていく中で、気になることはどうしても出てくるものです。そんなときは、簡単なことでも「聞いちゃおう!」と、まず投稿してみることが大切かなと思います。私はちょっとした相談や伝えたいことでも、社内SNSに投稿するようにしています。

ツールもまずは触れてみることから、やりながら慣れていく大切さ

山本氏: 紙の書類を扱わなくなったのは、大きな安心につながりました。会計業務ではクライアントの書類をお預かりすることがどうしてもありますが、必要最低限です。紙による業務は、紛失のリスクと背中合わせです。以前は、書類を失くしてしまう夢を見るくらいでした。オンラインでやれることはオンライン化してしまうのが大事ですね。

クラウドソフトやコミュニケーションツールを1つでも使いなれておくことで、ほかのツールを導入したときの使い始めも楽になりました。先日、Wewillでは、「Ovice(オヴィス)」という仮想オフィスが導入されましたが、初見で直感的に使えました。

「Ovice」内のWewillの様子。仮想オフィス上でメンバーの勤務状況が見え、雑談が進められる。

山本氏: テレワークの最初はいろんなことを試していましたし、今も試行錯誤は続いています。やりながら慣れていくスタイルで大丈夫なので、まずはできるところからテレワークを進めていくのが大切だと実感しています。

 

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