「自分の人生を諦めない」と決めた私に必要だったテレワーク| Hult EF Corporate Education 飯田さんの働き方

ハマリモ!「自分の人生を諦めない」と決めた私に必要だったテレワーク| Hult EF Corporate Education飯田さんの働き方

テレワークの効果のひとつが採用力の向上。企業はテレワークを取り入れることで、市外や県外だけでなく、世界中から仲間を集めることができます。実際に浜松市にも、浜松でテレワークをしながらグローバル企業で働く方がいます。

テレワークで働くという目標を、10年かかって達成した飯田恵梨さん。会社の理解を得るために、さまざまな実績を作ってきたといいます。浜松で叶えた自分らしい生き方とは?お話を聞きました。

目次

イギリス本社とのテレワーク、勤務地は「世界中どこでも」までの道のり

恵梨さん会議室②

ーー浜松市の出身で、大学進学のため東京へ。その後、浜松へUターンし地元企業に就職。そこから英語の勉強を重ね、27歳でイギリスの現地企業に就職されました。楽天やGoogleでの人事・人材開発を経て今では、世界最大の教育インフラカンパニーHult EF Corporate Education(ハルト・イーエフ・コーポレート・エデュケーション:以下、EF)で部長職をされていらっしゃいます。

そんな飯田さんが、2021年10月に浜松へ帰省。イギリス本社とのフルリモートワークを実現していると聞きました。お聞きしたいことが盛りだくさんですが(笑)、まずは現在どんな働き方をしているか聞いても良いですか?

飯田:実家に戻ってきて家族と同居しながら、日中はコワーキングスペースで仕事をしています。休日はカフェを楽しんだり、家族と過ごしたりしています。

ーー取材前にもパソコン越しにオンラインミーティングをされていた様子でしたが、会話が英語でしたね……!飯田さんが勤めている会社について教えていただけますか?

飯田:はい、EFは組織や人事領域のコンサルティング会社です。世界最大の教育プロバイダーであり、企業に合った語学研修やエグゼクティブ研修、グローバル人材育成研修を提供しています。ビッグデータを用いることで、ビジネスニーズに沿ったゴール設定・ギャップ把握や研修プランを企画できるのが強みです。そんなEFで私は、東証一部上場企業や官公庁、グローバル企業の人事コンサルを担当。企業研修の企画と導入を担っています。

HULT EFの支援メニュー
HULT EFの支援メニュー。語学研修からコーチング、上級管理職の育成、組織開発まで。

ーーその中でも要職に就かれていると思うので、イギリス本社に出社してほしいと言われないでしょうか?

飯田:たしかに採用にあたっては、ロンドンの本社に赴任してくれと言われました。ですが、浜松で暮らしたかったので、嫌だと断ったんです。そうしたら採用通知書に「LOCATION:ANYWHERE(勤務地はお好きなところで)」と書かれていました(笑)。

上司には、「チームのみんなはロンドンにいるし、エリのデスクも用意しておくから、来たくなったらいつでも赴任してね!」と背中を押してもらいました。

ーーご理解があるんですね。すべての業務をリモートで行っているのですか?

飯田:いえ、お客様先に行く場合もあるので、そのときは浜松から出張しています。行き先は都内がほとんどですが、渋谷のヘッドオフィスにも寄らないことが多いです。というのも、本社に出社するとそこからお客様先への移動が大変になってしまうので。乗り換えを含むと片道で30分とか40分とか……。

ーー東京の地下鉄は、乗換駅構内の移動が長くなりますからね。移動時間がもったいありませんね。

飯田:そうなんです。シンガポールのお客様もいますが、やり取りは結局テレワークですからね。もともと週1日は自主的にテレワークして、東京と浜松との2拠点生活をしていました。それを2021年の10月、勤務形態をフルリモートワークに変えて浜松に完全移住した、という流れです。

ーーイギリス本社とのテレワーク、とてもかっこいいです……!

テレワークという自由を得るために飯田さんが果たした責任

早くからテレワークの可能性を感じていた、2015年のSNS投稿
早くからテレワークの可能性を感じていた、2015年のSNS投稿より

ーー飯田さんがテレワークの可能性を感じたきっかけは何でしたか?

飯田:小学生時代、両親が仕事で参観会に来られないことが多く、さみしく感じたことです。将来、私は子どもの参観会に行けるようになりたい、と思いました。「自宅で働くような仕事がないかな。そうすれば、子どものイベントにも駆け付けられるのに」。そんなアイデアから、将来はフルリモートの働き方を思い描いていたように思います。

ーーずいぶんと早くからテレワークの働き方を思い描いていたのですね。

飯田:そうですね。27歳のときにイギリス現地で就職活動を行ったときも、イギリス企業が近隣諸国の応募者と音声通話で面接しているのを目の当たりにして。「テレワーク」という言葉は当時ありませんでしたが、会社から離れた場所にいても仕事ができそうだ、と確かな手ごたえを感じました。

とはいえ当然ですけれど、すぐにテレワークで働けたわけではありませんでした。世の中でテレワークが当たり前になってきたのは最近のことですし、私もフルリモートワークの働き方が叶うまで10年かかりました。

ーーテレワーク勤務可能な仕事に就いたわけではない、ということでしょうか?

飯田:実はそうなんです。私の場合は、これまでのキャリアを通じてテレワークの働き方を勝ち取ったようなイメージです。

ーー具体的にはどのように行動しましたか?

飯田:これといった取柄のなかった自分が、会社からテレワークを許可してもらうためには、2つのスキルや実績が必要だと考えました。

  1. デジタルリテラシー
  2. 雇用契約書の内容を変えられるくらい強い立場になること

テレワークするなら必要なのがデジタルリテラシー。ITを活用して、オンラインで仕事をするスキルですね。私が2014年に楽天へ転職したのは、そのスキルを身に付けるためでした。楽天では当時からクラウドツールを使いこなして仕事をしていましたから。最初は苦労しましたが、デジタルリテラシーを身に付けたお陰で今の働き方があります。

そして、もう1つ必要だったのが、雇用契約書の内容を変えられるくらい強い立場になることです。テレワークが制度にない会社では、雇用契約書には勤務地の記載がありますね。私も勤務地をオフィスから、自宅などのオフィス以外の場所に変更してもらわなければいけませんでした。

まずは、会社への責任を果たそうと決め、「どうしたらテレワークを許可してくれますか?」と社長に聞きました。すると、「1億円の売り上げを作ってくれたら」という返事が。「それなら2億、作ります!」と答えて、結局のところ3億円の売り上げを達成。世界トップセラーとなり、CEO賞をいただきました。

ーーそんなに努力をされたのですね!

飯田:自由を得るためには果たさなければいけない責任がある、ということかなと思います。思えば私は、いつも目標を持って生きてきたタイプ。1年ごとに目標を作っては、その達成をつねに意識して日々行動しています。そんな自分の性格にとっても、価値あるチャレンジだったと思います。

ーー目標を持ち、ご自身の人生を切り拓いてきたのですね。

飯田:私は自分の人生をあきらめたくない気持ちが強いのかもしれません。そのときの事情や環境によって、いろんな制限を受けることがあると思います。私も地元の商社や家電量販店での仕事経験しかなかったけれど、どうしてもイギリスの会社に就職したかった。そこで考えたのが、ワーキングホリデーを活用してイギリスに渡り、現地で就職活動することでした。

楽天に入社するときも、TOEIC®800点以上で大卒という応募条件から私は外れていました。それでも、面接で熱く語って入社のキップをもらったんです。

将来、自分がどうなっていたいのか?そのゴールを心に描き、近づけるように行動すること。そうやってスモールアチーブメントを積み重ねていけば、夢ってきっと叶うんだと思います。

「自分ごと」から「他人ごと」への変換点、これからは自分がロールモデルとなれるように

恵梨さん②

ーー飯田さんが努力して、精いっぱい勝ち取ったテレワーク。実際にフルリモートで働いてみていかがですか?

飯田:「根本の幸せ」に触れる時間が増えました。たとえば90歳になる祖母に、大好物のコロッケを買って届けに行くと、とても喜んでくれます。イギリスや東京で働いていたときは、そんな当たり前のことができませんでした。祖母の笑顔に触れて、「根本にある幸せって、こういうことなんだなぁ」と実感します。

テレワークなら、仕事で挑戦したいことにも取り組めて、家族と幸せな時間も過ごせます。一挙両得の働き方、ですね。

ーー私たちはテレワークをどのように活用できるでしょうか?

飯田:テレワークできれば、さまざまな国の企業で仕事を経験できると思います。イギリスでは、いろんな国の人が働いていました。キャリアチェンジのために、他国からイギリス企業に参画しますし、イギリス企業側も国籍に関係なく優秀な人材を採用できるのでWin-Winなんですね。

会社と個人の人生を縛る必要はないと思います。自分の目標を叶えるために仕事を選んでもいい。そのための働き方の1つが、テレワークではないでしょうか。

ーーつねに目標を持ってこられた飯田さん。これからはどうなっていきたいですか?

飯田:今後は、子どもの未来を支援する大人になるのが目標です。自分の人生を切り拓いてきた私ですが、本当はロールモデルがいてくれたら良かったと思うことがありました。こういう生き方があるよ、こういう仕事があるんだよ。仕事や生き方を見せてくれる理想の大人の女性に出会いたかった。

そんな私が次に果たすべき責任は何かと考えると、今の子どもたちにとってのロールモデルになることではないかと思うんです。自分の経験を地域の子どもたちと分かちあう未来学校の活動にも、積極的に参加させていただいています。

ーー素敵な目標ですね。飯田さんの人生そのものが次のステージに入られているような。

飯田:ありがとうございます。これからは「自分ごと」ではなく、「他人ごと」を増やしていきたいんです。自分のためだけではなく、他人の利益のために働けるようになりたいなって。毎日ボランティアに飛び回っている自分の姿を、次なる理想に思い描いています。

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