ITリテラシーが低い企業でテレワークを開始するのが怖い!IT担当者のホンネから導く対策方法

いざテレワークを実施しようとしたときに、もっとも頭の痛い問題は社員のITリテラシーやITスキルが乏しいことかもしれません。ITとなじみの薄い業界では、ITに詳しい社員が少ないのが普通です。デジタルな仕事のやり方をはじめて体験する社員も多いかもしれません。

そのようにITリテラシーの低さが心配な企業でも、ポイントを抑えることで段階的にテレワーク体制に移行できます。本記事ではテレワークに必要なITリテラシーと、それらが低い場合にどのようにテレワークを実施していくかについて解説します。

目次

テレワークに必要な3つのITリテラシー

テレワークに必要なITリテラシーは主に3つあります。どのようなITリテラシーを高める必要があるのか、まず概要を押さえましょう。

1.パソコンや通信環境を整備・利用するスキル

テレワークには、パソコンやインターネットを整備・利用するスキルが必要です。当然ながら、テレワーク時の業務や会社とのやり取りは、インターネット通信を用いて行うからです。電話やFAXを用いたやりとりは、ほぼゼロになると言っても過言ではありません。

パソコンやインターネットの最低限度の設置作業を、テレワークを行う社員自身でやってもらう場面が出てきます。また、パソコンやインターネット環境に何か不具合が発生したときも、一次対応を行ってもらう、もしくは対処をせずに社内へ報告をもらう必要があります。

パソコンや通信環境の扱い方を、最低限度は押さえてもらう必要があるでしょう。

2.クラウドツールを使うスキル

テレワークではクラウドツールを使うスキルが必要です。なぜならテレワークでは、より手軽でスピーディなコミュニケーション・業務遂行を実現するために、これらのクラウドツールが必要になってくるからです。

具体的には、従来からある電子メールや社内イントラネットではなく、チャットツールを使うことが多くなりますし、グループウェアと呼ばれる統合型のコミュニケーションツールが用いられる場合も多くあります。そのほか、各社員の業務進捗を管理するためのクラウドツールや、勤怠管理ツールも導入されるかもしれません。

これらはITの専門スキルが無くても直感的に使えるものが多いですが、それでもパソコン上で操作するものなので、最低限はパソコンやITツールを使うのに慣れてもらう必要があります。

3.セキュリティーやコンプライアンスへの意識

テレワークを実施する際には、セキュリティーやコンプライアンスへの意識が必要です。なぜなら、私的な端末と業務用の端末を共用するケースも多いため、情報漏えい対策やセキュリティー対策が必要になるからです。

自宅で仕事をしているとオンとオフの境界線があいまいになってしまうため、ついつい気が緩みがちになります。そのため、誤ったアドレスに資料を送信してしまったり、うっかり私的なメッセージアプリで仕事の情報を話してしまったりというリスクが高まります。

社員のセキュリティ意識を高めることが、テレワーク実施における大切なポイントとなります。

ITリテラシーが低い場合にテレワークを行うための3つの対処法

社員のITリテラシーが低い場合の対策は、以下の3つが考えられます。

1.リモートデスクトップの活用で、オフィスで働くのと変わらないパソコン環境を作る
2.研修の実施で、ITリテラシーを底上げする
3. ヘルプデスクの設置で、困ったらいつでも問い合わせをもらうようにする

1.リモートデスクトップの活用で、オフィスで働くのと変わらないパソコン環境を作る

リモートデスクトップと呼ばれる方式で、オフィスのパソコンと変わらない環境を作るのが1つの手です。リモートデスクトップ方式とは、オフィスのパソコンを自宅からインターネットを通じて遠隔操作することによって、オフィスで働いていたときとほぼ変わらない環境で業務(画面操作)が可能になるというものです。

このやり方は専用のアプリを入れるだけで実現できるため、導入がかんたんなのが利点です。クラウドツールも使わなくて済むため、ITに慣れてない社員でもスムーズに移行できるでしょう。

ただし、注意するべき点が2点あります。1点目は、回線速度の問題です。この方式はインターネットを通じて遠隔操作をするので、十分に高速な通信回線を設置していないと生産性が落ちる可能性があります。

もう1点は、リモートワークをする際に会社のパソコンの電源をオンにしないといけない点です。遠隔操作といっても、親パソコンの電源がオフになっていては操作ができませんので、何らかの方法でオンにしておく必要があります。常時電源を付けっぱなしにするか、誰かが会社に常駐する必要があるでしょう。

会社の親パソコンと常時接続する以上、リモートデスクトップにはセキュリティリスクも伴います。そうした観点からも、テレワークを実施する際は、物理的な解決方法に頼るのではなく社員のITリテラシーを高める意識が必要になるでしょう。

2.研修の実施で、ITリテラシーを底上げする

そもそもITリテラシーが低い場合は、研修の実施で底上げする必要があります。テレワークの導入を目的としたITリテラシー研修の際には、単に技術的な解説だけではなく、以下のような総合的な学習・知識が重要です。

  • テレワークの定義
  • 自社でテレワークをする目的
  • テレワーク時の社内のルールの変更点
  • どのように働き方が変わるかと情報セキュリティ上の脅威
  • デバイスやクラウドツールの技術的な説明、操作の説明
  • セキュリティーの考え方と情報資産の守り方
  • 実際にあったトラブル事例

テレワークだから、というだけでなく、デジタル時代の基礎知識としてITリテラシーを身に着けておくべき項目です。

また、実施方法については社内の担当者が講師となって実施するのが一般的です。外部の講師に頼むのも手ですが、自社の目的を踏まえた研修にはしにくいので注意が必要です。

3.ヘルプデスクの設置で、困ったらいつでも問い合わせをもらうようにする

テレワークを実施する際は、社員が困ったときにいつでも相談できるような相談窓口を設置すべきです。なぜなら、とくにテレワークの導入直後は、社員が慣れていないため混乱が予想されるためです。

しかし、ただ問い合わせに回答するだけでは、同じ問い合わせが何回も来る可能性があり、非効率です。そこで、問い合わせの内容と回答をナレッジとしてデータベース化し、公開するなどの施策が必要でしょう。

また、問い合わせへの回答もリモートとなるため、トラブル発生時にどう対応するかも考えておく必要があるでしょう。方法としては社員のパソコンをリモート操作できるツールを導入したり、正しい操作方法を動画に撮って共有するなどの方法が考えられます。

まとめ:テレワークを契機として社員のITリテラシーを高めよう

社員のITリテラシーが低い場合にテレワークを導入するのは、ハードルが高く感じるかもしれません。しかし、テレワークを契機として社員のITリテラシーを高めることもできます。

ITリテラシーが低い人は、単にITに苦手意識を持っているだけの場合も多くあります。クラウドツールを使こなしてテレワークができることで自信がつき、社員が自分からITの勉強をするようになった事例もあります。社員のITリテラシーが低い場合でも、ぜひ前向きに取り組んでいきましょう!

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