浜松発の新しい働き方「テレワークパーク構想」の実証実験がスタート、イベントレポート

浜松発の新しい働き方「テレワークパーク構想」の実証実験がスタート、イベントレポート

2020年11月3日(火・祝)、弁天島海浜公園で、「テレワークパーク」の実証実験開始にともなうプレスイベントが開催されました。

浜名湖とシンボルの鳥居をバックに、仕事ができるように後部座席を改装した「オフィスカー」5台を展示。車と駐車場を活用した浜松発の新たな働き方を提案する「浜松テレワークパーク構想」を発表しました。

実証実験は11月下旬からスタート。来年4月以降の事業化を目指して、検証と改良を重ねます。普段のオフィスでは得られない、プライベートな個室空間と開放感あふれる場所で仕事する心地よさを体感できる会となりました。

本レポートでは、そんな「浜松テレワークパーク構想」のお披露目となったイベント当日の様子をお伝えしていきます。

目次

浜松テレワークパーク構想とは?設立の経緯と実証実験の開始について

浜名湖とシンボルの鳥居 をバックにオフィスカーでテレワーク
浜名湖とシンボルの鳥居 をバックにオフィスカーでテレワークができる

浜松テレワークパーク構想とは、車と駐車場を仕事ができる場として整備することで、新しい働き方を実現する枠組みです。車を働ける個室に、駐車場をコワーキングスペースに見立てました。

軽バンの後部座席を改装した「オフィスカー」は、外部電源を引き込んで快適に仕事ができるスペースに。駐車場には、電源やWi-Fiなどを整備し、テレワーカーの集まる場としていく考えです。

これにより、テレワークの課題である個室の確保難と、コミュニケーション不足を同時に解消していきます。

この取り組みのきっかけは、スタートアップ企業などが交流する拠点The Garage for Startups(以下、The Garage)」で生まれたアイデアです。会社組織を超えたフラットなディスカッションが行われ、テレワークにおける課題に対する解決策が議論されました。

コロナ禍をきっかけに広くテレワークが推進されましたが、「仕事をできる個室が確保できない」「コミュニケーション不足から来る寂りょう感」といった課題が散見されたことに着目。

1人1台といわれる市内における車の普及率も手伝い、「車が働ける個室にできるかもしれない」という対話が生まれました。自動車販売の望月自動車商会株式会社および工務店の入政建築株式会社、The Garageの協業により、軽バンを改装した「オフィスカー」を試作しました。

そこへ、自動車メーカーのスズキ株式会社と、高度なデジタルキー技術を持つ株式会社東海理化が参画。浜松市らしいテレワークの実現といった観点から、浜松市も賛同し、「浜松テレワークパーク実現委員会」が発足した形です。

2020年11月下旬より浜松市内の公園駐車場など2カ所を拠点にテスト利用を開始する予定です。駐車場をコワーキングスペースとして活用する新たな働き方を、ここ浜松から提案してきます。

「共創により生まれた浜松らしいソリューション」浜松テレワークパーク実現委員会より挨拶

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浜松テレワークパーク実現委員長 杉浦直樹氏

イベントの冒頭で、浜松テレワークパーク実現委員会長として、株式会社We will杉浦直樹より挨拶をさせていただきました。

 「コロナ禍で半ば強制的にリモートワークをしたときに、さまざまな課題が見つかったと思います。各家庭に個室がない、コミュニケーションが減って寂しい、仕方なく車で仕事をするもアイドリングしなければならないといったことです。

それらを解消する手段として、『オフィスカー』のアイデアが生まれ、各方面よりコンセプトに共感いただけたことで『テレワークパーク構想』へと発展できたものと思っております。

これをきっかけに、もっと自由に働くですとか、楽しんで働くといったことができると良いと思います。駐車場は仕事だけでなく、災害時の避難所としても活用できます。

『テレワークパーク構想』が、新しいことを生み出す原動力になっていければと、期待しています」

と、本事業の主旨を語りました。

また、浜松テレワークパーク実現委員会運営メンバーより、スズキ株式会社 代表取締役社長 鈴木俊宏氏、株式会社東海理化 代表取締役社長 二之夕裕美氏、浜松市長 鈴木康友氏より、それぞれ本事業にかける想いを語っていただきました。

スズキ株式会社 代表取締役社 鈴木俊宏氏

コロナ禍ということで働き方が大きく変化しています。浜松ということで、南には太平洋、浜名湖、天竜川、そして、南アルプスに囲まれた自然に恵まれた浜松から、新しい働き方を発信できるという期待を胸に抱いています。

今日から、いろんな考え方や業界を超えてトライしていく。そういった流れにのって、『Yes and…(※1)』という考え方でどんどん発展させていきたいと思います。『やらまいか精神(※2)』で浜松から全国にこの考えを広げていけたらと思います。今日は、どうもありがとうございます」


(※1)Yes and…│多くのスタートアップを生んでいるシリコンバレーで大切にされる起業家精神。「いいね、でも…(Yes but…)」と否定するのではなく、「いいですね、では…(Yes and…)」とアイデアを重ねて発展させようとする考え方。

(※2)やらまいか精神│ 「やってみよう」「やってやろうじゃないか」を意味し、新しいことに果敢にチャレンジする浜松エリア特有のマインドを表します。
 

株式会社東海理化 代表取締役社社長 二之夕 裕美 氏

「モノづくりが新しい時代に入っても、何らかのお役に立てる、そんなつながりのようなものを強く感じています。もともと車のカギや、デジタルキーの技術をどうこの構想にどのようにお役に立てるか。浜松市が考えている働き方の改革にお役に立てるか。

何が何でもお役に立たなければいけない。そんな想いを持ちながらこのプロジェクトに参加させていただいており、チャレンジをしていきたいと思います」

浜松市長 鈴木 康友 氏

「皆さんご承知の通り、今年は本当にコロナに明けて、コロナに暮れる1年となりました。働き方も、通勤して事務所で今までのように働くのと合わせて、テレワーク・ワーケーションといった遠隔地での働き方、組み合わせが今後起こってきます。

そうした中で、今回のこの、車を使った『移動できるオフィス』は、車の街浜松ならではの発想です。コワーキングスペース(The Garage)の中で、ベンチャーの皆さんから提案が生まれ、スズキさんや東海理化さんのような大手企業が(提案を)受けてくれて、コンソーシアムの中で今回の取り組みが始まるということで、我々も本当に期待をしております。

行政としても、環境整備の面で全力でこの取り組みに関わっていきたいというように思いますし、ぜひ、実装に向けてしっかり取り組んでいって、この浜松から日本に、そして世界に新しい働き方を皆さんとともに提案をしていきたいというように思います」

市民の課題解決や浜松らしい働き方、モビリティ(車・移動手段)の新たな活用方法について触れたパネルディスカッションの様子は、以下よりご覧いただけます(長さ:1時間8分9秒)。

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